てがみ
カレーをおかわりしてから、親父は再びリビングのソファで新聞を読み始めた。
悠太も、食べ終えるとさっさと自分の部屋へ行ってしまった。
俺だけダイニングで、皿洗いをする羽目になった。


さっき店でも洗ってきたっつーのに…
まあ、毎日うまい飯作ってもらってるから、たまにはコレくらいしてやんないと、母さん拗ねるとめんどくさいし。


その母さんは一番風呂を堪能中だ。


「涼介、来週の火曜日、会社の後輩連れて店に行くから、予約しておいてくれ」


新聞を読み終えたのか、テレビの電源を入れながら親父が言った。


「何時から何人?」


「19時から3人だ、母さんには内緒な」


「小遣いアップを要求する」


「馬鹿言うなお前、俺の小遣いだって多くないんだぞ」


俺の言葉に慌てた親父は、ソファから少し身を乗り出して声を荒げた。
俺はにやりと笑みを浮かべる。


「冗談だよ、バイト代そこそこ稼いでっから、小遣いに困ってないんだー」


親父は心底ほっとした表情を浮かべて、苦笑い。


「小遣いはお前や悠太の方が多いかもなー」


学生は交遊費に金がかかるんだぜ…っと、皿洗い終わり!
時計を見ると21時。
母さんが風呂に入ってから30分は過ぎてるな~
そろそろ出てくるかな?


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