てがみ
初めて見た。
大きな声で笑うところ。
いつも、あまり感情を表に出さずにいるようで、だから取っつきにくいとか思ってたんだけど。


なんか…
急に近くに感じるなぁ。


「え、なに?」


「は?」


「はじゃないよ、じっと見て」


あぁ、どうも見慣れない物を目にしたせいか、凝視してたかな?


「いや、篠原がさ、そうやって声出して笑うの、初めて見たからさ」


「…そお?」


一瞬にして、表情が強張った。
あれ、なんかまずい事言ったかな?


「あ、わりぃ、別にからかってる訳じゃないんだ」


慌てて弁解する俺を見て、それから手にしていた焼き菓子を包みから出して一口かじり、小さくため息。


「篠原?」


「私、あんまり人付き合いがうまくなくて」


ぽつり。
そしてまた一口かじる。


もぐもぐもぐ、ごくん。


「柏葉くんが、羨ましい」
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