幼なじみは狼くん？

教室に戻ると桜が椅子に座って泣いていた。

私たちが入ってくるのに気づくと、私の方に近づいてきた。


―――バチン!

いきなり頬を叩かれ私は手を当てて、ただその場に立っていた。


「ヒック…なっんで、やっ山本…君とつっ付き合っていたこと言って…くれなかったの？ヒック…言って…くれっれば、こんなに好きにならないで…すんだのに。」


桜は、頬から涙を零し私の方をじっと見ていた。


「ゴメン五十嵐さん。私ずっとわからなかったの。拓哉を好きなのか…でもやっとわかったの！私は拓哉を好き。」


そう言うと、桜は涙を拭いて拓哉の方を向いた。


「山本君。私を振っといて、桜庭さんとすぐに別れたら怒るからね。」


「ああ。」


「私、素敵な彼氏見つけるから。」


「五十嵐さんならできるさ。」

拓哉がそう言うと、桜は「ありがとう。」と言って教室を出て行った。