トランプ帝国記
何か起こったときに限り召集令が出されるんだが、それが今、集まりつつある」


「…?何か起きてるってこと?」


そう聞いてその男の顔を見ると、


「…ちょっとついてきて」


そう言って噴水の向こうにあるもう一つの建物の中へ消えていった。


(……どうして私にこんな話をするんだろう…)


れんげは不安に思いながら、後についていく。


建物に入ると固められた土がむき出しの洞窟のような小さな間になっていた。


入ってすぐの左の壁に大理石でできたような光沢のある石の地図がある。


それを見ながら男はさっきより真剣に話をし出す。


「これがこの大陸。さっき言ったように真ん中のでかい国がこの帝国で、周りが小さな国々。


今まではこの地図のとおり、周りの国は全て関わりがなく孤立していた。


力関係に差がない為、国が他国を支配するということがなかった。


それが三年前、一つの国が鉱山のある小さな島国を侵略し、他の大陸と交易をし始めた。


それをきっかけに力を持ち、他の国を支配しだしたんだ。


その国はシェガット。


今はこの帝国よりも力はないが、このまま進めば周りは全て支配され、シェガットに囲
< 14 / 51 >

この作品をシェア

pagetop