トランプ帝国記
とっつきにくい性格だけど、悪いヤツではないから仲良くしてやってね」


笑いながら話すリアに、れんげはどう反応していいかわからなかった。


「昔っから偉そうだからな」


フェイもキアーをからかうように言った。


「ちっ。勝手に言ってろ」


思ったとおり機嫌を悪くしたキアーを見て、二人は笑う。


れんげは、前からあるようなその雰囲気に溶け込めずにいた。


――――――――。


突然役場内が気持ち悪いくらいの静寂に包まれる。


空気を読み取ったその場の全員の視線が入り口に集まる。


「…来た。」


フェイが一言呟く。


れんげは辺りの緊迫感に、今までにない不安を感じる。


その視線の先には、スラッとした細身の白い肌の男の人が立っていた。


鋼鉄のような頑丈な鎧を着て、涼しげな顔をしながら軽々とれんげ達のほうへ歩いてくる。


その男の気迫で会場の役員全員が足早に外へ出て行く。


ちらちらと男を振り返りながら。


男は近くまで来て立ち止まったと思ったら、一番にれんげを見てうっすら微笑む。


その笑みかられんげは他の人とは違う何かを感じた。


フェイとのときとは違う何かを…。
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