トランプ帝国記
フェイがすぐさま怪訝そうな顔を見せた。


「戦力だけじゃない。周りを囲まれたら力の問題じゃなくなります。」


声を潜めて、強い口調で王の方針に口を出す。


クロードはフェイを見ることなく、有無を言わさないよう話す。


「その前に兵を完成させます。


帝国兵の強大さは古くから大陸に知れ渡っている。


周辺の小国を全て支配される前に、犠牲を最小に抑えるよう努力しましょう。」


一旦そう言い終わると、ずっと向けられていたフェイの目を横目で見た。


フェイにはその目が、私を信じてくれ、と言っているように思えた。


「…はい。」


リアは何も言わず、ただ話を素直に聞き入れていた。


キアーは机にもたれたまま、斜め左にいるクロードを目に入れないよう、顔を逆に向けていた。


れんげは終始今起きていることにうろたえたまま。


クロードの話よりも、ここにいる4人の雰囲気が一番気になった――…。


「では、これからの方針を話しますよ。」


クロードは、キアーの寄りかかる机の横にあった黒いおおきな筒を取った。
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