トランプ帝国記
証である肩の印、カードが引き継がれていなければ、そこで終わりです。


他国と交渉することは不可能になります。


たった一人でもね」


クロードの目を見ていたリアの顔が不安で歪む。


フェイがクロードの話に補足して、更に不安をかき立てる。


「Jが管理している本には、兵士の名が署してあった。


それを頼りに何度か村や町を訪れたりしていたんだが、何年か前に各地で流行った疫病で、その後がわからない者もいる…。


急死なら、受け継がれている可能性は低い。」


「…」


フェイは一点をぼんやり見つめながら難しい顔をした。


そのとき、リアは哀れむような悲しい目でフェイを見たのを、れんげは見逃さなかった。


キアーはこの国の状況に、いつになく真剣な表情を見せた。


「仕方ありませんよ。


フェイやキアー君のように優秀な戦い手であることを祈りましょう。」


フェイはぱっと顔を上げ、リアとキアー、れんげを向く。


「それよりもまず、揃うかが問題だ。


とにかく王に従う。


俺たちはスペードの兵士を当たるしかない。」


「…。」


リアはフェイと目を合わすとすぐさま首を下に下ろした。
< 28 / 51 >

この作品をシェア

pagetop