トランプ帝国記
「責任者を出せ!地代を払えないなら潰すぞ!」
黒い服装の大男が二人、入り口から入ってくると大声で喚きだした。
ここはハート国の村にある小さな養成所。
親がいない子供達が数人と、金銭的に頼りない心優しい若者が四人暮らしている。
彼らは身寄りのない子供達の為にこの施設を建てた。
だが、建設に有り金のほとんどを使ってしまった。
あてにしていた国からの補助金も入らず、それどころか、金銭的にゆとりのない彼らの働く場所すら限られてしまったのだった。
これがダイヤ国の政治だった。
裕福な身分の者は優遇され、貧しい者は国に必要ないとばかりに除外された扱いを受ける。
リアは9歳で両親を亡くしていた。
父親は政府のやり方に逆らった為に死刑。
働きっぱなしだった母親の荷はさらに重くなり、過労死した。
その後リアは3つ離れた妹のスフィアと一緒に、この施設に来たのだった。
政府の人間が施設に取り立てに来始めたのは、リアが12歳のとき。
いつ来るのかと、毎日怯えながら暮らした。
育ての親代わりの青年たちが殴られるのを見ながら。