トランプ帝国記
施設の子供たちは、スフィアより小さい子供たちばかりで、一番上のリアが、みんなのお姉ちゃんのような存在だった。




またいつものように、政府の男が来て、青年たちが一人ずつ殴られるのを、リアは裏で感じていた。


怖がる子供たちを抱えながら。


「…ごめんねみんな。もう平気だよ」


表から青年が優しく呼ぶ。


「…お兄ちゃん、大丈夫?」


スフィアが殴られた青年の顔を心配して寄っていく。


青く晴れた目の上を撫でようとしながら、泣き出す。


「…スフィア…、大丈夫だよ。大したことない」


青年たちはただ笑うばかり。


つられて幼い子供たちはみんな泣き出す。




いつもこんな調子だった。


大人たちも心身ともにすり減っていただろうが、一番まいっていたのはリアだった。


その日リアは、泣くスフィアを見ながらある決心をした。
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