トランプ帝国記
それから2日ほど経った朝。


いつもと変わらず、青年が外のポストの手紙をチェックしようと蓋を開ける。


すると、しろい縦長の封筒が、膨れて置いてある。


中身を見ると―…、


「―――?!!」


数十枚の紙幣が入っていた。


「大変だあ!おい、起きてくれえ!!」


青年が慌てて仲間を起こす。


その大声は、リアたち子供らが眠る部屋にも届いていた。


「どうしたんだよ…、まだ子供たちが寝てるのに」


「これを見てくれ!」


青年が開けた袋の中から、大金が出てくる。


「!?なんだこの大金…!」


「今ポストに入ってたんだ」


「そんなバカな!」


男たちは目を見合わせた。


「…返すべき、だよな」


「どこに…?」


その問いの後、青年は何も答えれず、また目を合わせた。


「…きっと、神様が子供たちのために、くださったんだよ」


青年たちはそう思いながら、袋を見つめた。


リアは部屋で、苦笑しながら聞いていた。


そして右手で左腕の肩を隠すように覆った。
< 40 / 51 >

この作品をシェア

pagetop