君と僕の物語

後悔


「野島さん、今日空いてますか?」

「どしたん?大島っちからのお誘いなんて、めずらしいね」

「はい。ちょっと。」

「うんうん。了解。話きくよ。」


野島さんはなんだかいつもよりやさしかった。

沙希ちゃんから全て話しは伝わっていたんだろう。




「野島さん、木川さん元気ですか?」

「元気だよ! おとついも会ったし、ライブ頑張ってるみたいだよ。」

「そうですか・・・」

「どした?」
「ってきくのも、意地悪だよね。」

「いいんです。俺がいけないんですから。」

「一つきいていい?」

「いくつでも、どうぞ」

「なんで旅行にいったの?」


「彼女のこと、ちゃんと見つめなおすため。
っていうのは、言い訳。だな。
弱くて、情けない。
キャンセルできなかった。
彼女に言えなかったんだ。
彼女はすごく楽しみにしてくれてたからさ・・・って
理由になってないね。」


「はぁーーー、ホント最低だね。」
「みんなを幸せになんて出来ないんだから。
傷つけないようにしてるつもりが、みんなを傷つけてるんだよ。
んでね、大島っち・・・自分自身も傷つけてるんだよ。」

・・・・

「彼女を選んだ。
沙希はそう思ってるから。
これ以上、沙希に辛い思いをさせたら許さないからね。」


野島さんの言うとおりだ。
何も言えない。

後悔先たたず。とはいうけど、
すでに後悔してる。
沙希ともっとたくさんの時間を一緒に過ごしたかった。

俺には、沙希を幸せにすることはできない。
そう思うしかなかった。
< 51 / 71 >

この作品をシェア

pagetop