また恋をした、その時に。【完全版】
いつもたくさんの人間で賑わっているこの場所。
お父さん、お母さんと手を繋いで歩いてる子ども。
おじいちゃんに肩車されている子ども。
肩を並べ寄せ合っている若い男の子と女の子。
カメラをぶら下げたおじさん。
だけど、今は公園の閉園時間を過ぎてるからか、人は誰もいない。
夜の公園は暗くて不気味だーーー。
上を見上げると、お月様は厚い雲に覆われていた。
僕は
公園の門までたどり着く。
赤茶色の鉄製の錆びた門は
僕の胸くらいまでの高さがあって。
…この門を越えないと外の世界には行けない。
門の手すりに手をかけて、右側に力を入れた。
目をぎゅっと閉じて、歯を食いしばりながらね。
キィーーーーーっと耳障りな音が夜の公園に響く。
生暖かい風も一気に吹き抜けたーーーーー。
目を開けた瞬間、
僕は彼女と出逢ったんだ。
「ここで働いてる人、ですか?」