高嶺に咲く恋
隆裕。



いつかみたいに、まっすぐあたしのとこに向かってくる。



「先輩」



切れ長の目をあたしにむける。




「なに?」



目を見つめ返す。




整った顔、垢ぬけた表情、完璧な男、



そう思った。






「先輩、俺彼女ができました」





意味がわからなかった。


景色が激しく回りだして。


あたしのすごく大切なものが。




隆裕が、手のひらからこぼれおちた気がした。
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