【短編】ハチミツ王子



そう言ってミツはあたしを残して出口へと歩き出した。

そして体育館を出る時。

あたしの背中に言った。



「ただ……俺は告白するのに2年もかかっちゃいましたけど。その間。1度も先輩への気持ちが冷めた事はありません。それだけは分かってください」



真っ直ぐな言葉があたしの胸に響く。



あたし……どうしよう。



もう気持ちがゴチャゴチャになって分からなくなったあたしは、そっとしゃがみ込んだ。



「ちょっと考えよう」



あたしはまた立ち上がって教室へと戻った。

すると紗有があたしに気付いて近寄ってきた。



「おはよ。今日来るの遅かったね」



「うん……。ちょっと、ね」



そう言って自分の席に着くと、紗有が机の前にしゃがみ込んであたしの顔を覗き込んだ。



「何か、あった?」



う……。鋭い。

天然で鈍感そうなわりに、紗有は鋭い所がある。

こういうのは、やっぱり相談してみるのもいいのかな。



そう思ったあたしは、紗有に聞いてもらう事にした。



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