【短編】ハチミツ王子
「えぇ!!みっくんがぁ!?ごふっ」
「ちょっ声大きいから!」
目を大きくして大声で驚く紗有の口をあたしは慌てて両手で塞いだ。
するとその大声のせいでクラスの視線があたし達に集中する。
あ……やば。
あたしは微笑んで口を開いた。
「あ。何でもないでーす……」
そう言うと、クラスのみんなはあたし達から視線を逸らした。
すると苦しそうにあたしの両手を叩く紗有に、あたしは口を塞いでいた事に気付いて慌てて離す。
「ぷはぁ……」
「ごめんね」
苦しそうに呼吸を整える紗有に謝ると、紗有は手を振った。
「うん。大丈夫。てか、それホントなの?」
「うん。ホントらしい……」
そう言って俯くと、紗有はニヤッと笑った。
「へぇ……あのみっくんが羽菜の事をねぇ」
「うん」