【短編】ハチミツ王子
「それは羽菜が気付いてないだけなんだよ」
「そんな事ないもん……」
そう言うと、紗有は苛々した様子。
口をへの字にして言う。
「そうやってすぐネガティブになるの、羽菜の悪い癖だよ!?」
ビクッ!?
いきなり大声で怒鳴られてあたしは思わず顔を後ろに引いた。
するとハッとしたように、紗有は静かに言った。
「羽菜は優しくて強い子なんだから。自信持ちな?ね?」
そう言って紗有は優しく微笑んでくれた。
そっか。
あたしに足りないのは自信なのかな。
自信ないから今まで誰の事も好きになれなかったのかな。
自信ないから……。
「ありがとう。紗有」
お礼を言うと、紗有はうんって頷いて口を開いた。
「本題だよね。みっくんの事」
「あ、うん」
頷くと紗有は机に頬杖着きながら聞いてきた。