【短編】ハチミツ王子
部活中。
あたしは休憩時間に体育館の隅に腰掛けていると、男バスの練習風景が目に止まった。
今まで意識して見てなかったけど……。
何気なく目に止まるのは、ミツ。
ミツ……。バスケうまいんだな。なんて思った。
そういえばあたし、ミツがバスケやってる姿初めて見るかも。
ただ可愛い後輩ってだけで、意識なんてしなかったもんな。
って、あれ?
意識?してる?
ミツを見ていると、今まではなかった感情が芽生えた。
可愛いってしか思えなかったのに。
何か急に男らしく見えてきた。
あたし……まさか。
胸が少しざわつく。
ただ、告白されたから意識しちゃってるだけなのかもしれない。
だって、あたしの理想は背の高い人だよ?
そう心に言い聞かせて、あたしは休憩を終えて練習を始めた。
「おつかれー」
練習を終えてまた汗で濡れた髪をタオルで拭く。
今日は男バスも同じ時間に練習を終えたらしい。
水道に男子も近づいてくる。
あたしは何となくミツが気にかかって急いで制服に着替えて、彼氏と帰る紗有と別れて駅へ向かった。