【短編】ハチミツ王子
そう言って別れようとした時。
「あれ?石原じゃん」
その声にあたしはピクッと肩を動かす。
その声を聞いてあたしはゆっくりと振り返る。
するとあたし達の前には、中学の時告って。
身長が高いからってあたしをフッた男子が立っていた。
「上田……」
あたしの声が掠れた。
何で……。
会いたくなかった。
久しぶりに会った上田は、あたしより5センチくらい大きくなって。
かなり背が伸びていた。
前の事を思い出してしまったあたしを見下ろして、上田はニッと笑った。
「お前小せぇな」
そう言ってケラケラ笑いながら背比べをしてくる。
この場から……逃げたい。
そう思った時。上田は思い出したようにあたしの顔を見た。
「そういえば、石原。前おれの事好きだって告ってきたよな」
ズキ……。
胸が痛む。