【短編】ハチミツ王子
「石原……まさかお前の男?」
「え……」
そう聞かれてあたしは、戸惑った。
すると上田はクスクス笑いながら言った。
「お前……外見綺麗になっても変わんねぇな。石原って背が低い男好きなんか?」
そう言うと、今度はミツを見下ろして言う。
「お前もどんな神経してんの?自分より背が高い女と一緒にいて恥ずかしくね?」
あたしは今にも泣きそうだった。
悔しかった。
こんな奴を昔好きだったって事が。
悔しかった。
何も言い返せない自分が。
悔しかった。
あたしを“好きになるのに理由はいらない”って言ってくれたミツを馬鹿にされるのが。
でも……それはホントの事だ。
だって自分より背が高い女が隣にいるなんて、恥ずかしいでしょ?
するとミツは上田を睨みつけた。
「俺は別に恥ずかしくないよ。身長なんて関係ないし」
え……?
俯いていたあたしは思わず顔を上げた。
するとミツはあたしを見つめながら言った。
「俺は羽菜先輩の全てを好きになったんだ。身長なんて関係ない」