【短編】ハチミツ王子
抱きしめながら聞いてくるミツ。
「だって!さっきの上田の言葉聞いたでしょ!?あれが社会の一般論なのよ!」
みんな思ってるんだよ。
背の低い男と背の高い女が一緒にいると、そう思ってるんだよ!
そう思われて……ミツは平気なの?
するとミツはもっとギュッとした。
「先輩は俺の気持ちより……社会の目を気にするんですか?」
「え?」
「俺はそんなの気にしません。自分の考えが1番正しいと思ってるから!」
そう言ってミツはあたしの顔を見つめた。
その顔はいつもの可愛い顔とは違って真剣な顔。
男らしい顔。
「外見なんて気にしません!大事なのはその人を想う気持ちでしょ!?」
その言葉があたしの心を大きく揺らした。
するとミツはあたしの肩に頭を乗せながら小さく呟いた。
「先輩……これが最後です。俺を後輩じゃなくて、1人の男として見て答えてください」
ギュッとあたしを抱きしめる力が強くなる。
「俺の事……好きですか?」