【短編】ハチミツ王子
「紗有ぃ~」
あたしは涙目になって紗有に抱きついた。
すると紗有はニコニコしながらあたしの頭を撫でてくれた。
「羽菜は可愛いとこあるんだから。そこを表に出せばいいんだよぉ」
「あたし……可愛くないもんー」
こんなデカ女。誰も相手してくんないよ。
すると紗有はフッと笑って言った。
「でも羽菜。後輩の女子とかにめっちゃ人気じゃん♪格好いいってさ」
この子は慰めてるつもり??
「女にモテても嬉しくない」
そう。あたしは、この身長と、性格が少し男っぽいからなのか。
後輩の女子から声をかけられる事が多い。
それは大体。
漫画とかドラマとかで見るような。
『先輩こんにちはー』
『こんにちは(ニコ)』
『きゃー。先輩と話しちゃったぁ』
……みたいな感じ。
完全にあたしを女として見てないな。って思うんですよ。
どうしてあたしは男に生まれてこなかったんだろう。
男に生まれてきたら。こんなに悩む事なかっただろうにな。
神様は意地悪だ!!