【短編】ハチミツ王子
すると紗有の携帯が鳴る。
「あ……」
携帯を開いてそう声を出す紗有を見て、あたしは察する。
「彼氏迎えきたの?」
そう聞くと、申し訳なさそうに眉を下げた。
「羽菜ごめんね?」
「ううん。大丈夫だよ。早く行ってあげなぁ」
ニコッと笑ってあたしは紗有に手を振る。
すると紗有はあたしを拝むように手を添えた。
「ありがとー。じゃ、また明日ね」
「うん。バイバイ」
ニコッと笑って見送ると、あたしは……1人。
はぁ……。いいなぁ。紗有。
紗有の彼氏、確か大学生だったよなぁ。
身長確か。170センチ?
あたしよりちっちゃいじゃん!!
でもまぁ……紗有小さいから気になんないのか。はぁ……。
くそ!あたしだって小さかったら!!
ムッとしてあたしは水道をタオルで殴った。
「はぁ……電車間に合わなくなるから早く帰ろ」