【短編】ハチミツ王子



ミツ登場。

ミツはニコニコしながらあたしの前に立った。

少しクセのある茶髪はふわふわで。

今日も憎たらしいくらい可愛い。



「どうしたの?ミツ。ミツって電車逆方向だよね?」



なのに何故?

友達と遊ぶのかな?



キョトンとしていると、ミツはニッコリ笑って見せた。

そしてあたしの座っている前のつり革を両手で掴んで前屈みになる。

その行動のせいであたしとミツの顔は接近。



「な、何?」



眉間に皺を寄せて聞くと、ミツはまたニッコリ笑った。



「今日は羽菜先輩に話があってこっちの電車乗りました」



は?

あたしに話?



「だったら明日でもよくない?わざわざ逆方向乗って面倒じゃん」



まったく可愛げがない言葉……。

自分でも嫌になるよ。

言った後。まったく女の可愛さがないなぁって落ち込んでいると、ミツは首を振った。



「面倒なんかじゃないですよ?」



「え?」



キョトンとしていると、ミツは可愛い笑顔で言った。








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