【短編】ハチミツ王子
するとミツは、ハッとしたように大人しくなった。
ミツが静かになった時。丁度電車があたしの降りる駅に着いた。
えっと……。どうしよう。
黙っているミツにあたしは口を開いた。
「あたしの降りる駅だから……。話はまた今度でいい?」
そうバツが悪かったけど勇気を出して聞いてみた。
するとミツはちょっと眉が下がって、何だか寂しそうな顔をした。
「はい。また明日……」
「うん。じゃぁね」
あたしは笑顔を作って電車を降りた。
1人ホームに降りて、ミツが乗っている車両のドアが閉まる。
あたしはミツを見る事ができなかった。
さっさと歩き出して逃げるように階段を上がって改札を出た。
だって……。
すごく頭が混乱してたから。
まともにミツの顔も見れない。
だって……。あのすごいモテるハチミツ王子が、こんなあたしに告ったんだよ?
身長だってあたしの方が大きくて。
顔なんて男のミツの方が可愛いし。
誰に聞いたってミツの方が可愛いって答えるに決まってるこのあたしに!!
どうしてあたしなの?
てか、その前にホントなの?
何か何もかも信じられなくなる……。
どうして?って言葉しか出てこない。
「訳分かんないよ……」