初恋
第1章
4月、河原の桜並木は
幻想的なまでの景色を
生みだし、

心地よく柔らかな風を受けて
サラサラと鳴っていた。


「さくら―、あんた遅れるわよ!」

「はーい!」

彼女は中山さくら。
この物語の主人公となる。


今日は高校の入学式である。

さくらは革独特の光沢を放つ
真新しいローファーを身に付けた。

「やっぱスニーカーとは違うね。
ちょっと歩きにくい。」

そう言って、さくらは
少し大人になった気分で
嬉しそうに桜並木の方向に
駆け出して行った。

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