初恋
教室はどこか重々しい空気を醸していた。
教室全体を見渡す。
前の壁には校訓の額が
飾られており、
【鍛錬 琢磨 剛健】の文字が
力強い字で書かれていた。
「ねえ、席って決まってるの?」
さくらは突然話しかけられたことに驚いた。
話しかけてきたのはやはり、
さくらの知らない新入生だった。
「あっ、うん。
なんか、黒板に…書いてあるよ。あれ。」
さくらは黒板の座席表を
指差した。
「あっ!ホントだ。
あたしってば、あんなのに
気づかないなんてね~。
ありがと!」
そう言って彼女は
鼻歌を歌いながら
座席表を見に行った。
彼女の髪は茶色で
腰まで長い髪を
きれいに巻いていて、
スカートは極端に短かった。
典型的なギャルという感じで
だけどなぜか上品で
人なつっこい印象を
持っていた。
さくらはそんな彼女を
素敵だと思った。