初恋
さくらはサチとわかれた後に
カメラ屋に立ち寄った。
さくらは写真が好きだった。
毎日持ち歩いているトイカメラとデジタルカメラがあった。
さくらはトイカメラが気に入っていた。
トイカメラの写すそれはとても幻想的であり、柔らかく、懐かしげであった。
今日は現像を頼んでいた写真を取りに来たのだった。
一年近く通っている店で、すっかり店員さんとも仲良くなった。
「やあ。さくらちゃん。
いい写真が撮れてたよ。
はい。これはサービスさ。」
そう言ってカメラ屋のおじさんは、現像された写真と一緒にフィルムをくれるのだった。
「今じゃアナログなんて売れないからね。
だけども本当の写真は焼き付けた写真だ。
インクをのせる写真ならすぐに色あせちまうのにね。」
そう言っておじさんは寂しげな顔をした。
「ありがとう。おじさん。私はアナログ写真がすきだよ。
じゃあ、またこれお願いします。」
さくらは撮り終わったフィルムと現像代金を渡した。
「はいよ。また楽しみにしてるよ。」
さくらは、先程おじさんからもらったフィルムをカメラにセットして店を出た。