私の好きな彼女、私を愛した彼氏
私はゴマをするようにして彼女に投げかけた。
まぁ…正直に言えばけして可愛い部類に入るとは思えない風貌だけど。
何故か己の容姿にだけは絶対的な自信があると風の噂で聞いていたので―――。

すると彼女は否定する事も無く頬を赤らめて呟いたのだ。


「そんな解りきった事今更言わなくたって…。ただ、いつも主役ばかりじゃ他の子が可愛そうじゃない。」
「あ…っ、あははははははは。」

私は怒りを通り越して呆れてしまった。
本人に全く嫌味を言ってる自覚がないってのが手に負えない。

「ま、その問題もすでに解決済みよ。ハルの役は佐倉さんにお願いするから。」
『はっ?!!意味解んないんですけどっ!!』

その突拍子のない提案に私とアカネは声を揃えて反論した。



またそれが…私達の首を絞める事になるなんて。


タイミング的にずれも無く以心伝心したかのような突っ込みにクラス中から拍手が沸き起こったのだ。
千葉ちゃんも便乗するかのように大きく頷いて一人納得している。
完全に逃げ道を塞がれてしまった……。


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