私の好きな彼女、私を愛した彼氏
私はベッドの右横に設置した戸棚に手を伸ばし、2段目の引き出しから頭痛薬を取り出した。


―――水……。


……本当、人間ってのはどうして楽をしたがるんだろう。

キッチンに視線を動かしてみるけどその距離は徒歩で約15歩。
起き上がって汲みに行くだけの元気なんてあるわけがない。

私は勢い良く水無しでカプセルを飲み込んだ。
途端、気管支に詰まりそうになり蒸せて吐き出してしまう。

「ゴホッ!…ぅ…、気持ち悪っ…。あぁ、もう何なのよ。」

己の失態が原因と言うことを棚に上げ私は悪態をついた。
だけど、一人暮らしの1DKアパート。
静けさが増すだけ――――。



「……ハルに電話しよう。」



気を取り直し時計で時刻を確認した私は携帯のリダイヤルボタンを押した。
AM8:00ジャスト、私の朝は本来ココから始まる。
……まぁ、今日はアクシデントの為に多少予定が狂ってしまったけどハルの声を聞けばそんな鬱な気分も吹っ飛んじゃうよ。
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