私の好きな彼女、私を愛した彼氏
「アカネ!…あの…。」
何を……、どう伝えればいいのか自分の気持ちが解らないっ!!
俯いて黙り込む私に彼女は小さく苦笑した。
「……あーき。そんなに落ち込まれちゃうとショックなんだけど。」
「ぇ、ぁ…、ちがっ。」
「………ファーストキス、嬉しかったのは俺だけ……?」
「?!」
耳元で囁かれた言葉に私は赤面してその場を飛びのいた。
アヒルみたいに口をパクパク言わせるが肝心の言葉が出てこない。
そんな私を見て彼女は………。
いや、彼は意味深に微笑と一足先に教室を後にしたのだった。
――あれは、ハルだ。
アカネの中に【ハル】がいたのだ。
初めて脚本に目を通したはずなのに、……不思議と違和感がない。
アカネが何を考えてどうしようとしてるのか検討がつかなかった。