私の好きな彼女、私を愛した彼氏
「数学の宿題、答え見せてあげようか?」
「…意地悪だな。昨日の放課後に2人で終わらせたじゃん。」
「そーだっけ??」

季節は6月の初旬。
私とアカネは相変わらず2人で連んでいた。
その関係は親友以上。
蜜月に近い日々で私は幸せの絶頂にいた。
2ヶ月前に始まった私達の関係は深まる一方。
あの瞬間ハルが好きだと気がついた私はもぉ……彼がいない人生なんて考えられなくなっていた。


急転直下で訪れた恋。

でも………ハルが愛しているのはミウ。
だって【ハル】は【ミウ】と愛し合う為にだけに産まれてきたんだもん。
だから私がこの恋を成就させるための方法は唯一つ。
私がミウになればいい。



私がミウで居続ける限りハルは【私】を愛してくれる。


………そう信じて、疑わなかったはずなのに……っ。



心の中に小さな不安の種が1つ。


「佐倉、各クラスの演目表と体育館使用の時間割り表はもう提出したか?」
「ぁっ!?忘れてたっ。いつまでだっけ?」


――ぁ…ハルが消えた。



私は慌てて書類を確認しだすアカネを見つめた。
そこに居るのは120%アカネ。
ハルの面影なんて………微塵も感じられない。

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