私の好きな彼女、私を愛した彼氏
お酒が抜けて現実味が増せば…。
自分が何をしてしまったのか嫌と言うほど思い知らされてしまう。

何度…彼の名前を呼んだ?
何度…アイツの名前を呼んだ?



『――もっ…と……ッ……ハルッ……――!!』





ハルを失ったあの日、私は心に決めたはずだった。


アキとしての人生をしっかりと生きていこう…と。

【ハル】と愛し合う未来しか用意されていない【ミウ】は存在意義を無くしたから。
私が【ミウ】として生きていく理由も無い。
逆に…心の奥底にこの想いを閉じ込め、一生色あせない永遠の愛を守りたかった。







―――なのに、同じ名前、ってだけなのに………っ。







「失礼って…。男としては、惚れた女の過去ほど気になるもんはないぜ?」
「はぁ?惚れたって…まだ出会って1日も経ってないのに…。」

私は呆れと軽蔑の狭間を行き来する心を隠すことなく表情に出した。
まぁ、過去の男の面影を探して酒に惑わされた自分と大差ないんだけどね。
< 30 / 90 >

この作品をシェア

pagetop