私の好きな彼女、私を愛した彼氏
その瞬間…私の瞳からは大粒の涙が零れだしていた。

震える指先で――。
漏れそうになる嗚咽を噛み締め押し殺し、私は電源ボタンを押した。



――たった2分38秒。



アンタを思い出すには充分すぎる時間。
何が真実で何が虚実なのか…。
ハルとアカネ、私はどちらを選べば良かった?
ミウとアキ、私はどちらで生きていけば良かった?

……何度となく問いかけたその問いも答えが見つかる予兆はない…。


私達はもうすぐ22歳になる。

アカネと出会って6年目の春。
ハルと出会って4年目の春。


触れ合った唇は熱を帯びていた。

それは間違えなくアカネの…柔らかい女の子の唇だったのにね。



ハル……。


< 4 / 90 >

この作品をシェア

pagetop