私の好きな彼女、私を愛した彼氏
変化の兆しが思い当たるようで思い当たらない…。


―――――だったら強硬手段あるのみっ。
アカネが話してくれないなら、ハルに聞いてやる!

私は意を決してアカネの腕に自分の腕を絡め甘えるようにして呼んだ。

「ハルっ、何か怒ってるの?……っ、ぇ!?」

次の瞬間、私は全身から血の気が引くのを感じた。



それは拒絶――。


有無を言わさない勢いで私の手を振り払ったのだ。
私はその場に立ち尽くし足を止めることなく進んでいく彼の背中を見つめていた。


ダメ、涙が……っ。
足が竦んで動かない…どうしよう、ハルが行っちゃう……っ。
そんなの絶対にイヤ!!


「待ってっ!!ハルっ…!!」


――彼の歩みが止まった。

人通りが少ない住宅街に私の泣き声がただ無情に響く。

「……泣くなよ。」

彼が呟いた。
その声色は酷く悲しそうで…優しい。
私は泣きじゃくりながらハルに歩み寄った。
その間、ハルは何も言わずに何処か寂しげな微笑を浮かべていた。
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