私の好きな彼女、私を愛した彼氏
アカネの姿を確認した途端に彼女達は落胆の色を隠すことなく呟いた。


「だから言ったでしょ。彼氏なんかじゃないって。」
「何?何かあったの?」

私の言葉にアカネは不思議そうな顔をして問いかけてきた。

「いや、あきっぺが浴衣なんか着て人待ちしてっから彼氏と待ち合わせかなぁって思ってさ。」
「なるほど、そーいう事かぁ。」


納得、と数回首を縦に振ったアカネは私を上から下へと見定めた。
そして天使の微笑を浮かべ言い放ったのだ。


「可愛いじゃん。」
「?!もしかして…ハ…。」
「みんな悪いんだけど、そろそろ行っていいかな?」

アカネは私の言葉を遮るように言うと、次の瞬間私の肩を抱き寄せ…

「これからデートなんだよ、俺等。悪ぃな。」



――ヤバい…っ――




きょとんとした彼女達を横目に彼は私の手を引いて走り出した。

私は不謹慎ながらも嬉しくて涙が溢れ出して…。
もう、誰にバレても構わないと心の底から思えたのだった。
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