私の好きな彼女、私を愛した彼氏
ますます意味が分からない。

「ちょ、何で?!」
「気が変わったから。書いた本人がいいって言ってんだから、読まなくていいんだよ。」
「はぁ??」

めちゃくちゃだ…。

返して貰った携帯からは当然ながらメールは削除されていた。





「…アカネとハルのどちらが…の次って何?気になるじゃんか。」
「さぁ…。俺、そんな事書いたっけ?」

…あぁそうですか。
知らぬ存ぜぬで通す気ですか。
だったらもう知らない。


私は胸にしこりを残しながらもそれ以上の追求を止めた。

「…ぁ、そろそろ時間じゃん。ほら、行くぞ。」
「…うん。」

差し出された右手。
私は静かに掴んで立ち上がった。
それとほぼ同時に花火大会の開始を告げる記念すべき一発目の花火が夜空を彩る。

……花火なんて珍しくも何ともないのに。

何故かその日の花火は涙が溢れ出すほど綺麗だった。
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