私の好きな彼女、私を愛した彼氏
「ちょ…アキ声が大き……。」
「私はっ!!!一生、ハルだけを愛して生きていくって決めたんだからっ!!」

私は一目散に駆け出した。
あまりにも突拍子の無い行動を取ってしまい少しだけ後ろ髪が引かれた。
でも今は構ってられない。
立ち止まってしまえば……細い糸のようにギリギリにまで張り詰めた涙腺が切れてしまうから…。

座り込んで、泣き喚いて…。
彼への愛を叫びながら突きつけられた現実に押し潰され廃人になってしまう。


だから……私は無我夢中で走り続けた。




遠くで……、私の名前を呼ぶハルの声が聞こえた気がした。





「お母さん、私……東京の大学受けるから。」
「あらそう。……っ、ぇえ!?」

のんびり屋の母も流石に驚いたようだ。
帰宅早々口にした私の爆弾発言にブツ切りをしていたジャガイモを落としてしまった。
私はそれを拾って鍋の中へ放り込むと止めの一言を放つ。

「もう決めたから。」
「決めたって…どういう事なのアキっ。…ぁ、お父さんも何か言って下さい。」

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