私の好きな彼女、私を愛した彼氏
とりあえず何か真剣な話がある様子なので私はPS2のコントローラーを置いて彼の隣に腰を下ろした。


途端、覚悟を決めたと言わないばかりに彼が私の両手を掴み……。



「アキっ……俺の両親に会ってくれない?」
「………ぇ…?」




……彼の、ご両親に………会う?




それは私が21年間生きてきた中で初めて言われた言葉だった。
自分の中で反復して日本語は理解できたけど意味と理由が追いつかない。
そんな私を見て彼は慌ててフォローを入れてきた。


「あ…や、別にそんな深い意味じゃ……。」
「ぇ?」
「ぁ……うん。悪ぃ……凄い、深い意味です。アキを両親にちゃんと紹介したいんだ。」
「……それ…って…。」


【結婚?】


私は音に乗せず唇だけを動かした。
すると彼は一度大きく頷くと私を力一杯抱き締めてきて……。


「ちょ、ハル苦しい…。」
「……悪ぃ、でも俺…今すげぇ顔赤いから――。」






ハルキの心臓の音が聞こえた。
ドクン、ドクンって……少しだけ速くなってるのが嬉しいって…素直に思えた。

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