【完】あたしだけ見て☆
「見てみ、今も俺の顔真っ赤だろ?」
抱きしめていた手をそっと離して、陽生の顔を見る。
「ほんとだ…。」
陽生の顔は真っ赤で、見たことない表情に愛しさが募る。
「だろ?あーもう!見なくていい!」
陽生はまたあたしを抱きしめた。
「俺、すぐ顔に出るからさ…それバレたくなくてあんま接しなかった。」
……なんだ、あたしたち不器用すぎただけだったんだね。
ちゃんと、想い合ってたんだ。
「…あたしたち、一緒だったんだね。」
「え?」
「あたしも陽生と居ると、心臓バクバクだし真っ赤になるよ。」
初めてちゃんと、目と目が合った。
なんだか照れくさくなって、2人とも笑っちゃった。
「変な意地はってごめんな。」
申し訳なさそうに陽生が謝る。
「ううん、陽生の気持ちちゃんと聞けたから良かった。」
「相原がそんな不安だったなんて、知らなかった。」
そう、その気持ちを伝えなかったあたしも悪いんだ。
「あたしたち、似てるね。」
不器用なところがそっくり。
「だな。」
そう言って笑った陽生の顔はきっと、今までで一番輝いてた。