【完】あたしだけ見て☆
手を差し伸べてくれる彼。
それはまぎれもなく、……陽生だった。
「な…んで…」
なんで居るの?
なんで追いかけてきたの?
「…追いかけて…きた!」
その声は途切れ途切れで…肩で呼吸をしている。
「もしかして…走ってきたの?」
「ん、まあ…。」
照れくさそうに陽生が笑う。
その瞬間、あたしの中でスキが溢れた。
気づいたら泣いていていて
好きが溢れて、どうしようもなくて
「ほら、また泣く。」
笑いながらあたしの手を引っ張って、立たせてくれた。
「覚えてたの…?」
この手に何度、触れたいって思ったか。
「あたりまえ。」
覚えててくれたんだ…。