【完】あたしだけ見て☆
「ほら、手。」
「え?」
「え?じゃなくて手かせ。足痛いだろ?」
軽くひねったこと、気付いてたんだ…。
「いっ、いいよ!」
手なんて繋いだことないし。
「いーから。」
そう言ってあたしの手をとり、陽生は歩き出す。
ゆっくりゆっくりと。
隣に並んで歩けるなんて、いつぶりだろ。
手…あったかい…。
陽生の顔を盗み見ると、自然と頬が緩むのを感じた。
「なにニヤケてんの?」
そう言って意地悪そうに微笑む陽生。
「なっ、なんでもない!」
こんなやりとりができるなんて、想像もしなかったよ。