真紅の翼
場は戻り洞窟内。
「空から落ちてきます、師匠。」
不意に少年がつぶやいた。
顔を寸分も動かさずに。
少年には何かが落ちる様子が、
手に取るようにわかったのだ。
「……見て来い」
男が低い声で、少年に命ずる。
「珍しい…。」
少年が口を開いた、
男はそれを無言で制す。
「……畏まりました。」
白髪の少年は、
小さくつぶやき、軽く礼をすると、
すばやくそれを確かめに向かった。
その少年の身のこなしは、
とても人間とは思えない。