ココアが欲しいんだ【季節短編】
夢に違いがない。
そんなまさかこんな日にいるはずがない。
バレンタインに偶然会うなんて。
夢ならそれでもいい。
とにかく会えたらそれでもいい。
アタシは自転車を置いて言った。
「あけましておめでとうございます」
丁寧にお辞儀した。
新年のご挨拶は大切にしなくてはいけない。
「ははっ、やっぱり面白い子」
ニッと笑うあの人。
あの時と変わらない。
冷たくなってた心がポカポカとあったかくなってくる。
……夢じゃない。