ココアが欲しいんだ【季節短編】






分からない。




でもまるで念じるかのようにアタシは待ち続けた。




時々通る自転車を見て目を見開き、すくっと立つ。




「はあ…」




その度に溜め息が出た。




違う。あの人じゃない。




いつもなら顔なんてすぐに忘れるアタシがはっきりと覚えていた。




あの人の笑った顔を。
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