ココアが欲しいんだ【季節短編】
結局三時間待ってもあの人は来なかった。
さすがに体の芯まで冷えて、帰ろうと思った。
わくわくしてた三時間前とは違って、次に見たのは落ち込んだアタシだった。
それも初めてだった。
落ち込む必要ある?
よく分からなかった。
その日からアタシは毎日あの自販機の前を通った。
自販機は学校と家を繋ぐ道にあるため、いつでも寄る事はできる。
けれど少し遠回りになるので、ジュースが飲みたい時以外通る事はなかった。
だけどアタシは遠回りしてもその自販機の前を通り続けた。