恋愛日和―愛してるの意味-
本当に、私は可愛げの無い女だ――と、
第三者の自分が呆れてるのが解った。
悲しいなら、泣けばいい。
悔しいなら、悔しいと相手を罵ればいい。
感情を露にして、彼にすがって……
恥ずかしい姿を晒す事を何故躊躇ったの?
これじゃ……、まるで彼への思いより
自分の体裁を守ったみたいで……余計惨めだ。

――捨ててしまおう。

そう思い、指輪の入った箱を
公園近くに川に投げ捨てようとした時だった。

「――クリスマス、カード…。
 【Please get married to me】」

【俺と結婚してください】


恥ずかしかったからなのか、
英語で書かれていたこの言葉は…
私が待ち続けていたものだった。
なのに、彼が共に歩もうと思ったのは私ではない。
これじゃ…浮気じゃなく本気ではないか。
浮気をされたって、自分を正当化することも出来なくなる――。
彼は、心変わりをして自分以外の人を選んだ。
何も――、悪くない、彼に非が無くなってしまうではないか。

「……相手は、同じ会社の子かな……。」

――好奇心、とは少し違うが――私は知りたくなった。
彼が選んだ将来の伴侶となる女性を。
自分が…その彼女より劣っていれば
仕様がないと諦めが付く。
漠然と、そんな思いに駆られた。

結局私は、自分は悪くないという理由を
求めているだけなのだ。
浮気をされた時は、相手を責めることで自分を正当化して
本気だとわかれば、自分が振られたのは
仕方がないという証拠を探し出す。

あぁ、これだけで十分じゃないか。
彼が私を愛していない理由に、相当する答えじゃないか。
私は―――、本気で彼を愛してなどいなかった
……ってことじゃないか。
そんな私を彼が心から愛することなど
あるはずないじゃないか
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