恋愛日和―愛してるの意味-
「………少し、小さい。
 ―――でも、私達の関係に良く似てる。
 小さな小さなすれ違いや、裏切りだったとしても…
 生じた歪みは直らない。
 だから――、このまま、続けていっても……
 どちらかが壊れてしまう。」

この指輪を無理に填めようとして、
私の指が傷つくか…指輪が壊れるかどちらかのように
私と彼はもう一緒にはいれない。
そう、もし……私が、昔の恋愛ジャンキーのままだったら
あるいは、この歪みを何とか出来たかもしれないけど
人は大人になっていくのをやめることは出来ないもの。


「………バイバイっ。」


私は、指輪を外し再び箱へと戻した。
そして―――、陸橋の上より、下を流れる川へと落としたのだった。
ぽちゃんっという小さな音と水飛沫を上げ
ゆっくりと流れに沿って…
ソレは私の目の前から姿を消していった。

どこまでも、どこまでも流れて―――、
やがて海に辿り着くだろう。
その後、西へ東へ進路を変え、波に揺られ風に煽られ、
何十年か経って、私の手の中に戻ってきたら…。
もし、その時私とあの人がまだ、
お互いに一人寂しい独身生活を送っていたら
もう一度あの人に会いに行こうかな。

そして………今度こそ、幸せになってみせる。
今よりもさらに大人になった私と―――、
少しだけ成長したあのバカと一緒にね。


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