恋愛日和―愛してるの意味-
ずっと好きだった。
もちろん、それは今も現在進行形で
この距離を保つのに必死な毎日。
好きです、好きです…。
気を緩めれば、
不意に口から出そうになる言葉。
でも、絶対に言わない。
告げない。
この気持ちに
プライドを持っているから。

「ちぇっ。もぉ、いいよぉ―だ。」

そっぽを向いて歩き出す
彼の背中が少し切なかった。
だけど、知ってる。
ほら、やっぱり私を振り返るの。

「なぁ、今日の放課後
 マック寄ってかない?
 俺、彼女に振られて
 暇なのよ。」
「アンタの驕りね。」

もし、この気持ちを告げれば…
私は彼の周りにいる
その他大勢の彼女の中の
1人になってしまう。
それだけは絶対に嫌だ。
決して彼女には
なれないけれど
彼の特別『Only one』が
彼女ではなく親友ならば
私は喜んで親友を選ぼう。
他の女のように彼
に触れられなくても…構わない。
いくらだって我慢できる。

――我慢しなくちゃいけない。

ガラッ


「ねぇ、アンタ振られたって本当?」
「マジなのよぉ。
 俺が君達と仲良いから
 嫌なんだって。」
「アハハっ。アンタの場合、
 悪気はないからねぇ。
 全く、割り切って
 付き合えっての。
 サミシイからSEXして、
 その穴埋めて貰ってるわけだし。」
「そうそう。
 …夜に1人は寂しくて
 死んじゃいそう。」
「なら、この後私とどう?
 しょーがないから、
 沢山気持ちイイことして
 慰めてあげるよ。」
「ん―。」

こんな時、
私は何も言えない。
だって、私は彼の保護者でも
彼女でもないのだから。
『Only one』
…言葉の響きは良いけれど
世間一般的に考えれば
親友なんてかなり格下なのだ。
今、彼にべったりと張り付いて
ホテルへの催促を強請るあの人は
彼の数多くいる彼女の中の
本の1人に過ぎないのに
彼の唯一の女親友の私は、
あの人にすら
太刀打ちできない。

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