恋愛日和―愛してるの意味-
こんな時は、
何だか哀しくて
惨めで泣けてくる。
私はすっと視線を落とし、
苦笑を浮かべた。

このまま行ってしまう。
――さっき、交わした約束だって
彼の中では
優先されるようなことでも
ないだろう。

「今日はパス。
 俺、コイツと
 この後約束あるのよ。」

「は?」

彼の言葉に
私は呆けて
間抜けな返事を返した。
それと同時に、
彼に擦り寄っていた
彼女も言葉を
失ってるようだ。
――まぁ、断れるとは
思ってなかったのだろう。
何で?と、
上ずった声で
問いかけると

「何でって、
 当たり前じゃん。」
「当たり前って。
 ――あぁ、何、
 もう新しい女作ったの?
 しょーがないな、
 んじゃ、今日の所は
 新入りに譲ってやるか。」

ふっと優越に満ちた
笑みを浮かべた彼女は
余裕と言わないばかりに
告げた。
それには、あきらかに
見下した雰囲気が
漂っていて
私は声を荒げて
立ち上がろうとした…

――が、それを遮るように
彼の腕が私の首もとに
伸びてきて……。

「あのねぇ、コイツは
 俺の一番大事なダチなの。
 君達とは違うの。解った?」
「――っ、好きにすれば!」

どの言葉に
プライドを傷つけられたのか…
思い当たる節が多すぎて
解らないけど
少しだけ眉を潜め、
彼女は去っていった。
と、同時に
お昼休みの終了を告げる
チャイムが鳴り響き、
一瞬だけ静まり返っていた教室内に
慌しい空気が流れ始める。
が、私は1人この状況を
どう処理していいか
解らず唸っていた。

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