人魚になったあたし。



……あ
人の声がする。

うっすら音楽も。


「あーあ、もう始まっちまってるな」

薄暗やみのなか、一段階段を降りるごとに人の声と音楽は、大きくなる。



「足元気を付けろよ?」


「…うん!」


後ろ姿しか見えないし、表情も分からない。

それは智があたしの表情を見れないことにもなる。



智ってなんだかんだでやさしいよなぁ。


思わず微笑んだ。



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